定期保険,養老保険,保険料,短期払い,経理処理

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定期保険の保険料を短期払いで支払った場合の経理処理と税務上の取り扱い

法人契約の生命保険のメリットがイメージできる画像

 

質問

私は中小企業の経営者で50歳になります。

 

万が一、私が死亡したときの資金繰りに備えて、保険金受取人を会社とする生命保険に加入しておこうと思います。

 

保険会社からは、保険期間が70歳までとなる定期保険を提案されましたが、数年は事業が順調に推移すると思われますので、その間に保険料を支払ってしまいたいと思います。5年払込20年満期の定期保険に加入した場合の税務上の取り扱いはどうなりますか?

 

回答

支払い時に全額を損金に算入することはできません。その処理方法は次のとおりです。

 

保険料の払込方法は、全保険期間にわたって、毎月あるいは半年ごと、1年ごとに支払う方法が一般的です。
しかし、保険期間の前半で保険料を払い込んでしまう方法(短期払い)もあります。

 

さて、設問のケースでは、長期平準定期保険には該当しませんので、保険料を年払いや月払いで支払うときには、原則としてその支払いの都度損金に算入することができます。

 

しかし、全保険期間分の保険料を前倒しで支払う短期払いの場合は、支払い時に全額を損金処理することはできず、期間の経過に応じて損金に算入することになります。

 

設問のケースで、年払い保険料を480万円とすれば、保険料の総額は2,400万円(480万円×5年=2,400万円)となります。

 

そして、毎月の損金算入額は10万円(2,400万円÷240ヶ月=10万円)となります。保険に加入した事業年度に属する保険期間が5ヶ月のときには、その年度の仕訳は次のようになります。

 

【借  方】

【貸  方】

前払保険料 430万円

支払保険料 50万円

現金・預金 480万円

 

2年目から5年目の仕訳は以下のとおりです。

【借  方】

【貸  方】

前払保険料 360万円

支払保険料 120万円

現金・預金 480万円

5年目支出時の前払保険料累計額:430万円+360万円×4=1,870万円

 

6年目以降の仕訳は以下のとおりです。

【借  方】

【貸  方】

支払保険料 120万円

前払保険料 120万円

 

 

 


養老保険(福利厚生プラン)の保険料を短期払した場合の経理処理と税務上の取扱

法人契約の生命保険のメリットがイメージできる画像

 

質問

当社では、役員・従業員の福利厚生費を充実させるため、会社契約で3年払込10年満期の養老保険に加入しようと考えています。

 

被保険者を役員・従業員の全員、満期保険受取人を会社、死亡保険金受取人を被保険者の遺族としたときの税務上の取り扱いはどうなりますか?

 

当社は同族会社ではありません。

 

契約者 会社
被保険者 役員・従業員全員
満期保険金受取人 会社
死亡保険金受取人 被保険者の遺族
保険の種類 養老保険(福利厚生プラン)

 

回答

支払時に保険料の2分の1を損金に算入することはできません。その処理方法は次のとおりです。

 

設問のような契約形態で加入する養老保険は、福利厚生プランと呼ばれ、原則として保険料の2分の1を損金に算入し、残りの2分の1を資産に計上することになっています。

 

しかし、設問のケースは、保険期間の前半で保険料を払い込んでしまう短期払いであるため、支払時に保険料の2分の1を損金に算入することはできず、期間の経過に応じて損金に算入することになります。

 

設問で、年払保険料を800万円とすれば、保険料の総額は2,400万円(800万円×3年=2,400万円)となります。そして、毎月の保険料相当額は20万円(2,400万円÷120ヶ月=20万円)となり、その2分の1である10万円を損金に算入することができます。

 

保険に加入した事業年度に属する保険期間が3ヶ月のときには、損金算入額は30万円となり、その年度の仕訳は次のようになります(3月決算の会社が1月に保険に加入した場合)。

 

【借  方】

【貸  方】

前払保険料 740万円

保険料積立金 30万円

福利厚生費 30万円

現金・預金 800万円

 

なお、10年満期の養老保険では、過年度に損金算入した分が満期時に雑収入となり、多額の益金が発生することになりますので注意が必要です。
役員・従業員の退職金準備を目的とするのであれば、満期を定年年齢にあわせる必要があります。

 

 

2年目3年目の仕訳

【借  方】

【貸  方】

前払保険料 560万円

保険料積立金 120万円

福利厚生費 120万円

現金・預金 800万円

 

4年〜10年目の仕訳

【借  方】

【貸  方】

保険料積立金 120万円

福利厚生費 120万円

前払保険料 240万円

 

11年目の仕訳

【借  方】

【貸  方】

保険料積立金 90万円

福利厚生費 90万円

前払保険料 180万円

 

実務上のポイント・・・給与課税される場合

役員・部課長など特定の者のみが加入しているときには、福利厚生費相当額となる2分の1が給与となります。

 

設問のように保険料が3年払込の場合で特定の者のみが加入しているときには、その者に対する臨時的な給与とみなされますので、特に注意が必要です。

 


 

法人契約や相続対策の生命保険は慎重に・・・

 

生命保険の加入や見直しのきっかけは、保険料の削減、保障内容の把握、保険見直しの検討、保険に関する不明点の解消、ライフイベントの変化などさまざまです。

 

複数のファイナンシャルプランナー(以下「FP」)に相談をして下さい。FPによって違う提案をされることは当たり前ですし、異なる生命保険会社の商品を提案されるのも当然のことです。

 

そこで、同じ内容の保険商品であっても、生命保険会社によって、保険料や解約返戻金が異なります。そのことを比較検討することも保険選びのポイントです。

 

FPも一人に絞ることなく、複数の担当者の意見を聞いてみてください。見方が変われば意見も違うはずです。

 

生命保険会社を選ぶポイントや注意点も気になるところですが、現在加入している生命保険がダメ保険といわれる内容のものであればすぐに見直しされることをおすすめ致します。

 

御社が、法人契約の生命保険に関して、

 

  • 生命保険活用による法人の節税対策や将来の退職金の準備を相談したい。
  • 生命保険全般(法人契約)について、複数の保険会社を比較してみたい。
  • 目的別によって、保険を分散して加入できていない(一社のみ)。
  • 事業承継(相続対策)のための生命保険活用について話しを聞いてみたい。
  • 加入している法人保険内容が目的に合致しているかどうか再確認したい。
  • 会社の自社株対策のための保険加入の仕方について知りたい。
  • 担当税理士が大手国内保険会社の代理店で一社のみを勧めてくるので不安だ。

などの、ご不安やご相談内容のある方は当サイトのお問い合わせページよりご遠慮なくご連絡下さい。

 

後日担当者よりご連絡申し上げます。

 

法人契約の生命保険は、退職金の準備、後継者の相続税納税資金の確保、相続税非課税枠の活用など目的が様々で、かつ、金額が高額であることから、一社の生命保険で全てを賄うことは無理なケースが数多くあります。

 

50歳経営者の法人契約生命保険の保険料と解約返戻金比較にあるように保険会社により、支払保険料の額、解約返戻金の額と返戻率も異なります。

 

複数の保険会社を比較検討することがとても重要ですし、法人契約や相続対策のための保険活用は金額が多額になりますから目的をはっきりさせて慎重に判断するようにして下さい。

 

当サイトを通じて多数のお問い合わせを頂いております。どうぞご遠慮なくご連絡下さい。

 

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