生命保険の見直し注意点とポイント
生命保険見直しの注意点
予定利率が高かった頃に加入した保険の見直しは慎重に
生命保険を見直す場合には、現状の保険の保障内容を見直し、中途減額や特約の中途付加、変更、さらに追加契約する方法などが考えられます。これまで入っている保険よりよい保険がある場合には、新規に保障内容を設計して見直す方法をとることもできるでしょう。
既存の保険を解約して新規に加入する場合
生命保険の保険料は年齢により上がる
保険の見直しを考えている場合、特に、現在の保険を解約して新規の保険に加入するときは、注意が必要です。
新しく保険に加入するときには、健康状態についての告知や医師の診査が必要となります。以前保険に加入したときには健康であった人でも、一般に年をとるごとに体は衰えていきますから、診査の結果によっては、保険に加入できないということも十分に考えられるからです。
また、保険料は加入時の年齢によって高くなっていきますから、新規に加入する保険の保険料を安くするためには、一般的に保障内容を下げなければなりません。その結果必要な保障が得られなくなる危険性もあります。
予定利率が高い頃に加入した保険
生命保険の加入時の予定利率は保証
さらに、終身保険など「貯蓄」部分の保障がある保険の場合、通常は加入時の予定利率が適用されます。
かつて、予定利率が高かった頃に加入した保険を解約して新規の保険に加入するのは、よく考えてから判断を下すべきです。
特に、1993年頃までに加入した養老保険、終身保険、年金保険など「貯蓄性」の高い保険の場合、当時は予定利率が5〜6%前後あるものが一般的でした。通常は加入時の予定利率は保証されます。
現在の予定利率を考えると、こうした過去の保険を解約して新規の保険に加入する場合には、慎重にならないといけません。
中途増額と特約の中途付加・変更
生命保険を見直しして保障内容を適切なものにする方法として、中途増額、特約の中途付加や変更などがあります。
定期付終身保険の見直し
独身時代(30歳)に加入した60歳払込満了となる定期付終身保険の見直しを考えています。(※定期付終身保険はオススメできない保険です。)
加入当初は、終身保険部分1,000万円、定期保険特約部分も同じく1,000万円でした。その後、結婚して子供が生まれると、万が一の保障として2,000万円という死亡保険金では不足する時期がくることが予想されます。
子供が成長して高校、大学に入学して卒業するまでの期間などは定期保険特約の保障を2,000万円に増額する必要があるかもしれません。
このようなとき、生命保険の中途増額という方法をとるほうが、契約を転換するよりも一般に安くなります。終身保険の1,000万円と定期保険特約の1,000万円については従来の保険料のままで、1,000万円の増額部分についてだけその年齢時点で特約保険料が上乗せされるからです。
利用条件の詳細は保険会社によって異なり、増額する時点で告知や医師による診査が必要となります。契約を転換して保険料を増額するよりも有利な方法です。(※保険の転換はおすすめできません)
特約の中途付加や変更は、家族のライフサイクルによる保障の見直しに有効な方法です。
ベースとなる主契約の終身保険をそのままにして、災害入院特約や疾病入院特約などを付加することが一般的です。特約には本人だけでなく、家族を保障するタイプもあります。
家計の出費を抑えるための生命保険の見直し
必要のない保障を見直す
終身保険に入っている人で、特約としてさまざまな保険を付けている人がいます。
- 特約で保障される内容が本当に必要なのか?
- 他の保険の保障と重複していなか?
を確認して、必要のない保障や重複している保障を見直すことが必要です。
必要のない保障金額を必要な保障金額にする
死亡保険金の額が必要な金額以上になっている場合には、必要な保障金額にします。子供の成長によって必要な保障額が下がってきたときには、保険料の支払金額を安くする中途減額を利用する方法があります。
同じ保障内容を保障の必要な期間だけにして保険料を安くする
たとえば、1,000万円の死亡保障が必要な場合、延長保険によって養老保険から定期保険に切り替えることで、それ以降の保険料の払込を不要にすることができます。ただし、この場合には保険期間が短くなりますから、必要な保険期間をカバーできるかが判断の基準となります。
生命保険を選ぶときのポイント
同じ保障でも保険会社によって保険料は違う
現在では、規制緩和の一環として、保険料は各保険会社が独自に決めています。
一般的にみて国内生命保険会社(いわゆる漢字系の保険会社)と比べて、カタカナ生保(外資など)の保険商品には、割安な保険料のものもあります。
国内生命保険会社の保険に加入している人が保険を見直す場合には、保障内容を変えずに他社の安い保険料のものに切り替えることを検討してみるのも一つの方法です。
もちろん保険料は加入時の年齢によって高くなっていくのが普通です。加入して間もないものや更新時の見直しには有効な場合があります。
各社の保険料を比較して検討してみましょう。
保険料と保険金のバランス
支払保険料と受け取る保険金のバランスを考えましょう
生命保険では、万が一の場合や病気・ケガなどの場合に、保険契約に従って保険料を支払うことで、必要な保障を受けることができます。
もしものことを考えると、「必要な保障」つまり保険金の額は高ければ高いほどよいと思われるかもしれません。
しかし、毎月の生活費から支払う保険料のことを考えると、支払う保険料は安いのに越したことはありません。
生命保険に加入するときには、目的に合わせて保障内容を選ぶことがとても重要です。
万が一の場合に家計を支えるためであれ、ケガや病気の医療費のためであれ、保障内容を決めるときには、必要な保障内容(保険金の金額)とそのために必要な保険料とのバランスを考えなければなりません。
Aさん(33歳)は会社員です。結婚5年目で、妻と3歳の男の子と生まれたばかりの女の子という4人家族です。
毎月の給与は手取りで30万円程です。現在は賃貸のアパートですが、将来は自分の家を持ちたいと考えています。そのために少しずつ貯金をしています。
子供たちにかかるお金のことを考えるともっと貯金の金額を増やしたいと思いますが、万が一のことを考えると保険に加入することも考えておかなければなりません。生命保険についてどのようにすればよいでしょうか?
Aさんのように30歳代で子供がまだ幼い家庭の場合、預貯金の額が多くなければ、万が一のときの保障は生命保険でカバーする必要があります。
家計のことを考えると高額の保険料を支払うことも簡単ではありません。このようなケースの場合、子供が成人するまでの一定期間、万が一の場合を保障してくれる定期保険に加入することが一つの方法として考えられます。
家計の負担を考えて保険料を低く抑えながら、なおかつ一定期間、必要な保障を得られるからです。
生命保険の見直しの手順とポイント
生命保険の目的を明確にする
生命保険でカバーできるのは、主に「死亡」と「医療」の2つです。優先順位が高いのはどちらかを今一度考えてみましょう。
保障額と保険期間を把握する
万一の死亡や入院には「いくら」お金があればやっていけるのか、「いつまで」もらえれば大丈夫なのか、を確認する。
現在加入中の生命保険をチェックする
「保険証券」を見てください。加入中の保険の受取人は誰か?保険金額や保険期間はどうなっているのか調べてみましょう。
他の生命保険と比較する
保険会社、保険の種類によっても保険料は異なります。同じ保障内容でも保険料が安い会社があるかもしれません。
生命保険の見直しを実行する
保険会社に連絡して手続きをします。いったん解約すると契約の復活はできませんので、新しい契約が成立してから古い保険の解約をするようにして下さい。