相続放棄をした場合の死亡保険金の取り扱い|保険金を受け取れるのか?
相続放棄をした場合の死亡保険金の取り扱い
相続放棄をした場合の死亡保険金の取り扱い|保険金を受け取れるのか?
このたび夫が亡くなりました。
夫は生前事業に失敗し多額の借金を残しており、とても私が返済できる金額ではないので相続放棄の手続きをしようと考えています。
相続放棄をした場合、私が受取人になっている保険金も受け取ることはできないのでしょうか?
相続放棄をした場合の死亡保険金の取り扱い
相続放棄をした場合の死亡保険金の取り扱い|保険金を受け取れる
相続を放棄した場合でも保険金を受け取ることはできます。
生命保険金は、保険契約に基づき受取人が原始的に取得するものであり、受取人固有の財産とされています。
したがって、たとえ相続の放棄をした者であっても保険金は受け取ることができます。
なぜならば「相続放棄」とは被相続人が残した被相続人の財産について、相続する権利を放棄するということであり、元々受取人の財産である保険金を取得する権利を放棄するということではないからです。
ここでいう「相続を放棄した者」とは民法938条の規定により家庭裁判所への法的手続きにより相続の放棄をした者をいいます。
こういった法的手続きをとらないで相続人間の分割協議等により遺産を相続しないことになり、事実上財産を取得しなかった者は含まれません(相続税基本通達3-1)。
相続税法では、相続人が相続により取得したとみなされる生命保険金については一定金額まで非課税とされます。
しかし、設問のような場合の「相続を放棄した者」は、当然相続人としての取り扱いは受けられないため、相続を放棄した者が保険金を取得した場合には、相続人以外の者が遺贈により取得したという扱いを受けることになり、上記の非課税の規定は適用されないことになる点に注意して下さい。
実務のポイント・・・・相続の放棄と債務の相続
相続が開始した場合に、相続人となるべき者およびその順位については民法に定められていますが、先順位の相続人が相続放棄をすることによって相続人でなくなった場合には、最初から相続人となるべき者がいないものとされ、次の順位の者が相続人となります。
したがって、第一順位の相続人が債務の相続を免れるために相続放棄の手続きをした場合には、後順位の相続人も債務の相続を免れるためには相続放棄の手続きをする必要があります。
もちろん、このように相続人全員が相続放棄をしても、生命保険金についての受取人の権利には何ら影響を及ぼしません。