生命保険の必要保障額の考え方
生命保険の必要保障額って??
必要保障額は、生活費、教育費、住宅費の3つ
「必要保障額」−生活マネー関連の雑誌や書籍でファイナンシャルプランナーがよく使う言葉です。
生命保険の代理店や生保レディならこんなふうに話をします。
あなたが亡くなった時に、大切なご家族に残すべき必要保障額は、これだけの金額になります
要するに、残された家族のその後の生活設計を考えたうえで、その備えとしていくら必要なのか?ということです。
死亡保険を賢く利用するためには、必要最小限の保障額の正しい考え方を知って保険料のコストを安くする必要があります。
必要保障額を正しく見積もることによって、それが適正な保険金額となります。
そして、支払う保険料を安くすることができる、ということにつながります。
では、残された家族が生活していくためには、いったいいくらあれば足りるのでしょうか?
その具体的な金額を計算するために、出費の大きな割合を占める3つの項目を考える必要があります。
生活費、教育費、住宅費の3つです。
生命保険は必要保障額を考えて加入する
生命保険の必要保障額
生活費をまかなうための生命保険の必要保障額
まず一つ目は、「生活費」です。これは一般的にご主人が稼いでいた収入からご主人自身が使っていた金額を差し引いた額となります。
趣味をたくさんお持ちの方もいらっしゃるので、一概に何割とか絶対的な数字である必要はありません。
ご主人が稼いでいた収入におおよそ『7掛け』した金額が遺族に必要な生活費に相当すると考えられています。
人によっては、『6掛け』だったり、『8掛け』だったりしても構いません。
教育費をまかなうための生命保険の必要保障額
二つ目が子供の「教育費」です。生命保険会社のパンフレットなどで見るモデルプランには、「お子様を私立の高等学校や私立の大学に行かせるためには、これくらいのお金がかかります。」と、びっくりするような金額が記載されています。
確かに、私立中学、私立高校、私立大学、となれば高額になります。しかし、これは最大に見積もった場合の金額です。
自分の家庭で本当にそれだけの教育費が必要なのかどうかよく考える必要があります。世の中は私立の学校ばかりではありません。
住宅費をまかなうための生命保険の必要保障額
そして、3つ目の「住宅費」です。「住宅費」は、@持ち家の人と、A賃貸の人とで将来の支出が変わってきます。
@持ち家の人は、団体信用生命保険に加入していれば、将来のリフォーム費用のみが必要です。
A賃貸の人は、平均寿命までの家賃相当額が必要となります。
将来必要な保障を準備する
ライフサイクル(イベント)表を作成
将来必要な保障を計算
ライフサイクル表を作ってみましょう。現在の家計状況が把握できたら、将来のことも考えてみましょう。
「ライフサイクル表」に自分や家族の今後10年、20年の予定を書き込んで、将来のイメージを具体化してみるといいと思います。
人生の節目には、結婚や出産、住宅の購入などのビッグイベントがあります。
このような人生におけるイベントを「ライフイベント」と呼びます。 将来に起こるであろう、起こるかもしれない「ライフイベント」を考えて紙面に書いてみると、ぼんやりとしていた将来の姿が具体的に見えてきます。
例えば、子供が生まれたばかりの夫婦の場合ですと、2年後または3年後に2人目を出産する。
そして、4年〜5年後にはマイホーム購入し、結婚10周年の記念に海外旅行に行く!などと将来の家族の姿が見えてくるはずです。
また将来のお金のことを考えるときも、この「ライフイベント」は役に立ちます。「何年後」に「いくら」のお金を特別に用意しないといけないのか、という事が明確になってくるからです。
家族のマネー計画は、将来をしっかりと予測することから始めましょう。用意するべきお金、万が一のときに備える保障をしっかりと計画を立てて準備しておくことが理想です。そのためにも、ライフイベント早いうちから考える必要があります。
ライフサイクル(イベント)表の作成も、保険担当者にアドバイスを頂きながら作成してみるのもいいかもしれません。
必要保障額が変わるときは生命保険を見直すタイミング
必要保障額の変化とともに保険見直し
子供が成人したら生命保険を見直す
子供が成人すれば、教育費の心配がなくなります。
「死亡保険金の目安 = 年収の3倍 + 教育費」となりますが、金額を考えた場合、歳月が経ていくうちに、本当に必要とされる保障額には変化が生じてきます。
例えば、幼い子供がいる家庭の20年後はどのように事情が変わっているでしょうか?
子供の年齢によりますが、大学を卒業して社会人として働きはじめているかもしれません。そうすると、子供の教育費までを考慮して用意しておいた死亡保障は必要ない、ということになります。
つまり、子供が大きくなるにつれて、本当に必要とする死亡保障は少なくなっていくのです。また、積立貯金も続けていたら、貯蓄もそれなりの残高まで増えてきているはずです。その点をふまえて、若いときよりも保障額を少なくしても問題はないのです。
住宅が持ち家になったら生命保険を見直す
賃貸から持ち家になったら住居費についても変わってきます。賃貸暮らしから、団信付きの住宅ローンを組んで夢のマイホームを買った場合、その分の保障額を減らすことが可能となります。
子供の数が増えたら生命保険を見直す
子供が増えたら保障額も当然増えます。逆に子供が増えた場合、必要保障額は増えることになります。教育費も含めて考えなければなりません。
生命保険選びのポイント※家計を保障する
必要な時期に必要な保障が生命保険のポイント
家計を支える保障として生命保険を考える場合には、万が一の場合を保障する保険をどうするかがポイントになります。
「掛け捨て」という言葉で表現される定期保険を役立てるポイントは、「少ない保険料による大きな保障」という定期保険の特徴をどう有効に使うかを見極めることですね。
まず、生命保険に加入する目的を明確にする必要があります。
「家族年表」や「リスク分析表」を作成することで、「いつ・どのような保障が・どれくらい」必要なのかを考えることができます。
保障が必要な時期と必要な保障額を把握することで、ムダなく生命保険を活用することができます。
Q.子供の教育費と住宅ローンがある4人家族の保険の見直し
Bさんは、会社員で40歳です。結婚15年目です。妻と14歳の長女、12歳の長男の4人家族です。毎月の給与は手取りで40万円ほどです。
昨年新築のマンションを購入したので、月々の住宅ローンの支払が約8万円あります。1年後には長女が高校に進学、長男は3年後に高校に進学する予定です。
今後10年間は子供の教育費などが家計の負担になります。Bさんに万が一のことがあると残された家族は大変です。毎月の預金で長女や長男の教育費を準備したいと考えていますが、万が一の保障までは今、余裕がありません。何とかする方法はないでしょうか?
A.保険料が安く保障が大きい定期保険で必要な期間の保障を確保
Bさんのように、今後10年間の負担が極端に重い家庭の場合、万が一の保障はとても大切です。
しかし、月々の出費をあまり大きくしては、家計が苦しくなって教育費を準備することもできなくなってしまいます。このような場合には保険料が安く保障が大きい定期保険に加入して、必要な期間の保障を確保する方法がいいと思います。
Q.毎月の出費を抑えるための自営業の方の生命保険の見直し
Cさんは、自営業で50歳です。結婚23年で妻と21歳の長男(大学生)と3人暮らしです。売上が減少し、業績が良くありません。老後の心配だけでなく毎月の出費を抑えるために生命保険の見直しをしたいと考えています。
A.保険金を減額することで保険料を下げる
毎月の保険料払込負担を軽減したい場合には、中途減額を考えてみてはいかがでしょうか?
保険金を減額することで保険料を下げる方法です。定期保険部分よりも終身保険部分の保険金を下げるほうが保険料の減額が大きくなります。
ご長男がもうすぐ社会人になることと老後の生活保障を考えたときには定期保険部分の保険金を下げるほうがいいと思われます。
同じ保険で支払保険料を少しでも安くするためには
保険料は払込回数によって支払総額が変わってきます。一番安いのは全保険期間の保険料を一括して支払う一時払いです。
年払いや半年払いにも若干の割引があります。まとめて支払う方法を選択できる場合には、割引制度のない月払いを選択するよりも有利です。
金利の低い現在の預金に余裕があれば、一時払いで保険に加入することで預金金利分以上に保険料が割安になることもあります。
生命保険の死亡保障額の相場や平均は?
死亡保障額の相場や平均はいくらぐらい?
死亡保障と医療保障と貯蓄を考える
生命保険に加入するときや、見直しをするときには、そもそもなぜ生命保険が必要なのか、という加入目的に戻って考える必要があります。
一般的には、自分が万が一のとき、残された家族が経済的に困らないようにするためと、病気やケガをしたときの医療費などに備えるため、というのが一番の目的のはずです。
さらに、子供の教育費や老後資金を準備するための、貯蓄を兼ねて利用される方もおられると思います。
このようなニーズに合わせて、生命保険には大きく分けると以下の3つのタイプの保険があり、それぞれの目的に合わせてさまざまな種類の生命保険商品が用意されています。
- 1.死亡に備える保険
- 2.病気やケガに備える保険
- 3.貯蓄を兼ねて備える保険
3つのうち、特に重要なのが、死亡保障と医療保障です。これを適切な額で優先的に確保することが大切です。
貯蓄を兼ねて備える保険は、他の金融商品にはないメリットと、保険料のバランスを考えて検討するようにしましょう。また、年齢によって取り巻く環境が異なります。
20代30代40代、シングルか配偶者があるか、子供の有る無し、賃貸か持ち家か、夫婦共働きか、それぞれの置かれている立場によって必要な保障額は異なってきます。
死亡保障はいくら必要か?※まとめ※
タイプ別の死亡保障の目安の金額
未婚でシングルの方の死亡保障の目安の金額
家族形態:仕事:性別 |
住まい |
子供の数 |
死亡保障額目安 |
---|---|---|---|
シングル:男女とも |
親と同居 |
− |
300万円程度 |
シングル:男女とも |
1人住まい |
− |
300万〜500万円 |
シングル:男女とも |
持ち家 |
− |
300万円程度 |
既婚で子供がいない家庭の方の死亡保障の目安の金額
家族形態:仕事:性別 |
住まい |
子供の数 |
死亡保障額目安 |
---|---|---|---|
既婚:共働き:夫 |
賃貸又は持ち家 |
− |
1000万〜2000万円 |
既婚:共働き:妻 |
賃貸又は持ち家 |
− |
300万〜1000万円 |
既婚:専業主婦家庭:夫 |
賃貸又は持ち家 |
− |
1000万〜2500万円 |
既婚:専業主婦家庭:妻 |
賃貸又は持ち家 |
− |
300万〜1000万円 |
既婚で子供がいる、仕事は共働きで会社員や公務員の方の死亡保障の目安の金額
家族形態:仕事:性別 |
住まい |
子供の数 |
死亡保障額目安 |
---|---|---|---|
既婚:共働き会社員:夫 |
賃貸 |
1人〜2人 |
3000万〜4000万円 |
既婚:共働き会社員:夫 |
賃貸 |
3人〜4人 |
4000万〜5000万円 |
既婚:共働き会社員:夫 |
持ち家 |
1人〜2人 |
2000万〜3000万円 |
既婚:共働き会社員:夫 |
持ち家 |
3人〜4人 |
3000万〜4000万円 |
既婚:共働き会社員:妻 |
賃貸 |
1人〜2人 |
1500万〜2000万円 |
既婚:共働き会社員:妻 |
賃貸 |
3人〜4人 |
2000万〜3000万円 |
既婚:共働き会社員:妻 |
持ち家 |
1人〜2人 |
1000万〜1500万円 |
既婚:共働き会社員:妻 |
持ち家 |
3人〜4人 |
1500万〜2000万円 |
既婚で子供がいる、仕事は共働きで自営業の方の死亡保障の目安の金額
家族形態:仕事:性別 |
住まい |
子供の数 |
死亡保障額目安 |
---|---|---|---|
既婚:共働き自営業:夫 |
賃貸 |
1人〜2人 |
4000万〜5000万円 |
既婚:共働き自営業:夫 |
賃貸 |
3人〜4人 |
5000万〜6000万円 |
既婚:共働き自営業:夫 |
持ち家 |
1人〜2人 |
3000万〜4000万円 |
既婚:共働き自営業:夫 |
持ち家 |
3人〜4人 |
4000万〜5000万円 |
既婚:共働き自営業:妻 |
賃貸 |
1人〜2人 |
1500万〜2000万円 |
既婚:共働き自営業:妻 |
賃貸 |
3人〜4人 |
2000万〜3000万円 |
既婚:共働き自営業:妻 |
持ち家 |
1人〜2人 |
1000万〜1500万円 |
既婚:共働き自営業:妻 |
持ち家 |
3人〜4人 |
1500万〜2000万円 |
既婚で子供がいる、専業主婦家庭で仕事は会社員や公務員の方の死亡保障の目安の金額
家族形態:仕事:性別 |
住まい |
子供の数 |
死亡保障額目安 |
---|---|---|---|
既婚:専業主婦会社員:夫 |
賃貸 |
1人〜2人 |
4000万〜5000万円 |
既婚:専業主婦会社員:夫 |
賃貸 |
3人〜4人 |
5000万〜6000万円 |
既婚:専業主婦会社員:夫 |
持ち家 |
1人〜2人 |
3000万〜4000万円 |
既婚:専業主婦会社員:夫 |
持ち家 |
3人〜4人 |
4000万〜5000万円 |
既婚:専業主婦会社員:妻 |
賃貸・持ち家 |
− |
500万〜1000万円 |
既婚で子供がいる、専業主婦家庭で仕事は自営業の方の死亡保障の目安の金額
家族形態:仕事:性別 |
住まい |
子供の数 |
死亡保障額目安 |
---|---|---|---|
既婚:専業主婦自営業:夫 |
賃貸 |
1人〜2人 |
5000万〜6000万円 |
既婚:専業主婦自営業:夫 |
賃貸 |
3人〜4人 |
6000万以上 |
既婚:専業主婦自営業:夫 |
持ち家 |
1人〜2人 |
4000万〜5000万円 |
既婚:専業主婦自営業:夫 |
持ち家 |
3人〜4人 |
5000万〜6000万円 |
既婚:専業主婦自営業:妻 |
賃貸・持ち家 |
− |
500万〜1000万円 |
死亡保障はいくらぐらいあればいいのか?
死亡保障の必要保障額の目安と平均のまとめ
上記でも述べましたが、生命保険に加入したり、見直すときには、死亡保障がどれくらいあればいいかがポイントになります。
しかし、自分や家族に適切な保障額がわからなければ、生命保険に加入する金額や見直しが必要な金額もわかりません。
必要な保障額は家族形態などで異なってきます。具体的には、シングルか既婚者か、共働きの家庭か専業主婦家庭か、子供の有無や住まいによっても必要保障額は違ってきます。
例えば、シングルの人や、子供のいない共働き家庭では残された家族が経済的に困ることは少なく、高額の死亡保障は必要ありません。
逆に子供がいたり、妻が専業主婦の家庭では生活を支えている夫は死亡保障を多めに備える必要があります。
また、夫が万が一のときに、妻が働くという家庭では、夫の死亡保障を、妻の働き方に応じて抑えることができます。
医療保障は、死亡保障ほど家族形態などで大きな変化はありませんが、自営業の家庭では、会社員家庭より公的保障が少ないため、死亡保障と同様に多めに加入しておく必要があります。
いかがでしたでしょうか?
ご自身を取り巻く環境や将来のライフイベントをイメージしていただいて、必要保障額を確保するようにしましょうね。