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経営者保障のための生命保険(定期保険)を法人契約して法人税を節税

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

生命保険(定期保険)を法人契約して法人税を節税

 

法人契約で社長を被保険者とする生命保険の税務上の処理

当社は、将来、経営者に万が一のことがあったときに備えて、この度、決算を迎えるにあたり、社長を被保険者とする生命保険に加入することになりました。
この場合の税務上の取り扱いを教えてください。

 

契約者 会社
被保険者 社長(50歳)
保険金受取人 会社
保険金 1億円
年払保険料 200万円
保険期間 25年

 

法人契約の生命保険※支出した事業年度においてその全額が損金計上

 

法人契約で社長を被保険者とする定期保険は全額損金

定期保険は、定められた保険期間中に死亡した場合に保険金が支払われるもので、満期保険金はありません。
また、解約返戻金もほとんどありません(貯蓄性がないため)。そのため、定期保険の保険料は基本的に、その支出した事業年度においてその全額が損金計上できます。

 

ただし、長期平準定期保険、逓増定期保険に該当する場合は、中途解約における解約返戻金の高さから支出時には、一部損金にならないものがありますので、注意が必要です。

 


生命保険料を支出事業年度で全額損金計上できる要件

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

保険料を支出事業年度で全額損金計上するために

 

保険料を全額損金計上できる要件
1.保険金受取人を会社とすること

※遺族を受取人とした場合や特定の役員・従業員を対象とすると給与として取り扱われます。

 

2.長期平準定期保険に該当しないこと

保険期間が長期の場合、契約内容(加入年齢および保険期間)によっては、長期平準定期保険に該当し、全額を損金にできない場合があります。

 

※長期平準定期保険⇒定期保険のうち、その保険期間満了時の被保険者年齢が70歳を超え、かつ、その保険加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が105を超えるもの

 

この設問のケースでは、満了の年齢(75歳)は70歳を超えていますが、50歳(加入年齢)+25年(保険期間)×2=100<105 ⇒ 105ルールであるため、長期平準定期保険に該当しませんので、支出時に全額損金計上できます。

 


経営者保障保険に加入した場合の節税効果

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

経営者保障保険に加入した場合の法人税の節税効果

 

定期保険は支出時に全額を損金に計上で節税効果
1.事業保障資金の算定

経営者に万が一のことがあった場合に必要な事業保障資金の調達手段となります。
一般的に、事業保障資金の算定は以下の公式です。
[事業保障資金 = 債務返済額 + 従業員の給与(おおよそ1年分程) + 売上低下の補填分]

 

2.法人税の節税効果

定期保険は支出時に全額を損金に計上できますから、その分、法人の利益の圧縮につながり、結果法人税の税負担が軽くなります。
設問のケースで、200万円の年払い保険料を支払った場合は、200万円×35%(法人税概算実効税率)=70万円の法人税の節税となります。

 

 


生命保険を法人契約した定期保険に係る保険料の取り扱い

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

生命保険を法人契約した定期保険に係る保険料

 

法人契約した定期保険に係る保険料の取り扱い
《定期保険に係る保険料》

法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。

 

(1)死亡保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。

 

(2)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。
ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

 


長期平準や逓増定期保険で退職金の準備

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長期平準定期保険で退職金の準備

 

法人契約の長期平準定期保険で将来の退職金の準備

長期平準定期保険とは、契約者が法人、被保険者が役員または使用人とした定期保険で保険期間がたとえば100歳といった長期に渡ります。
保険期間内の保障額と保険料は一定で満期保険金はありませんが、長期間、高額の解約返戻金が維持されるのが特徴です。

 

長期平準定期保険は、「保険期間満了時年齢>70歳」で、かつ、「加入時年齢+保険期間×2>105」の二つの条件のどちらにも該当する定期保険であり、一方でもこの条件に該当しない場合は、通常の定期保険と同様になります。

 

経理処理については、加入当初6割期間は、2分の1は損金に計上します。残りの2分の1は資産に計上します。資産に計上された金額を残りの4割期間で取り崩していきます。
また、当初の6割期間経過後は、保険料をすべて損金に計上します。

 

長期にわたり高い水準の解約返戻金が維持されますので、退職までの期間の長い役員等の退職金準備として使用されます。

 

逓増定期保険で退職金の準備

 

法人契約の逓増定期保険で退職金の準備

逓増定期保険とは、契約者が法人、被保険者が役員または使用人とした定期保険で、保険期間の経過に伴い保険金額が5倍以内の範囲で増加する定期保険です。

 

名称どおり、年々保険金額が増加します。解約返戻金も増加しますが、解約返戻金のピークは比較的早くなるのが特徴です。
長期平準定期保険と同様に、解約返戻金のピークの時期に合わせて、役員退職金の準備に使用されることが多くあります。


終身保障タイプのガン保険(平成24年4月27日前後で取扱が相違)

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

終身保障タイプのガン保険

 

法人契約の終身保障タイプのガン保険の税務上の取り扱い

当社では、下記のような終身保障タイプのガン保険に加入しています。契約は平成23年契約です。
現在、保険料は全額損金計上しています。
聞くところによりますと、終身保障タイプのガン保険の保険料について、損金に計上できる金額が変更になっているそうですが、どのように変更になったのでしょうか?

 

契約者 会社
被保険者 役員
保険金受取人 会社

 

法人契約の終身保障タイプのガン保険の税務上の取り扱い

 

法人契約の終身保障タイプのガン保険は平成24年4月27日前後で取扱が相違

保険期間が終身であるガン保険は、保険期間が長期に渡るものの、高齢化するにつれて高まる発生率等に対して、平準化した保険料を算出していることから、保険期間の前半において中途解約した場合には、相当多額の解約金が発生します。

 

そのため、支払い保険料を単に支払いの対象となる期間の経過により損金の額に計上することは、適当でないという考え方から、平成24年4月27日前の契約と27日以後の契約のものとで取扱が異なります。

 

《平成24年4月27日前の契約のもの》

今後も保険期間に応じて損金に計上することが認められます。

 

《平成24年4月27日以後の契約のもの》

保険料の2分の1は損金に計上できますが、残りの2分の1は損金に計上できず、資産計上となります。

 

正確には保険料の払い込み期間を前払期間と前払期間経過後に区分し、前払期間においては、支払保険料の2分の1に相当する金額の損金計上が認められなくなっています。


福利厚生のために法人で保険契約した場合の節税効果

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

福利厚生のために法人で保険契約した場合

 

福利厚生のために法人で保険契約した場合の節税効果

当社は、このたび、従業員の福利厚生を目的として全社員を対象に養老保険に加入することにしました。税務上の取扱はどうなりますか?

 

契約者 会社
被保険者 全社員
死亡保険金受取人 従業員及びその遺族 (生存保険金受取人は会社)

 

福利厚生のために法人で保険契約した場合

 

福利厚生のために法人で保険契約した場合税務上の処理

養老保険とは、満期または被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。貯蓄性の高い保険といえます。養老保険の2分の1は、当期の損金(福利厚生費)となります。残りの2分の1は資産計上(保険金積立金)となります。

 

《保険料が損金とされるための要件》

1.原則として、全従業員を加入対象にするのが条件です。
管理職等の一部の従業員しか加入しない場合には、その従業員に対する給与として取り扱われます。

 

2.養老保険の保険料の2分の1が損金になるためには、保険金の受取人は、生存保険金:会社、死亡保険金:従業員の遺族としなければなりません。

 

福利厚生のために法人で保険契約した場合の注意点

1.保険の加入対象者は、原則全員です。
ただし、勤続5年以上、満30歳以上といったような合理的な基準を設けることは可能です。

 

2.保険に加入する際は、それらの内容について福利厚生規程等を作成し、全従業員に開示しておくようにします。
3.法人が満期で保険金を受領した場合は、資産計上されていた金額を超える部分雑収入となり、益金に計上されます。
また、被保険者の死亡により遺族が保険金を受領した場合は、資産計上されていた金額は損金に算入されます。


生命保険の契約者変更をした場合の課税関係

法人契約の生命保険がイメージできる画像

 

会社が契約者、社長を被保険者にした生命保険の契約者を変更

 

生命保険の契約者を変更した場合の税金関係

当社では、会社が契約者、社長を被保険者にした生命保険があります。この場合、契約者を変更したとすると、課税関係はどうなりますか?

 

契約者 会社
被保険者 社長

 

会社が契約者、社長を被保険者にした生命保険の契約者を変更

 

生命保険の契約者を会社から個人に契約者変更の場合
《会社から個人に契約者変更の場合》

会社は、それまでの資産計上額を全額取り崩し、解約返戻金相当額で個人に譲渡するのが通常ですので、その差額を雑収入または雑損失として処理します。
現金を受け入れない場合は、解約返戻金分の金額を退職金・賞与等で処理することとなります。

 

《現金受け入れの場合の仕訳例》

【借  方】

【貸  方】

現金預金 800万円

保険積立金 700万円

雑収入 100万円

 

《現金を受け入れない場合の仕訳例》

【借  方】

【貸  方】

賞与 800万円

保険積立金 700万円

雑収入 100万円

 

生命保険の契約者を個人から会社に契約者変更の場合
《個人から会社に契約者変更の場合》

会社は、個人から通常、保険の解約返戻金額で取得し、資産に計上します。個人は、通常の解約返戻金を受け取った場合と同様で、一時所得の対象となります。

 

参考:保険契約等に関する権利の評価 所得税法基本通達 36-37

36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。

 


 

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