先進医療って?
先進医療とは
先進医療とは何ですか?
新しく、高度な技術を用いた治療のことをいいます。
将来の保険適用の可能性がある治療法を見極めるための制度です。
先進医療とは、大学病院などで研究・開発された新しい治療法のうち、安全性や治療効果を厚生労働大臣から認められたものです。
適応する病気にはさまざまのものがあり、放射線で病巣を狙い撃ちできる「重粒子線治療」や「陽子線治療」など、がんの治療に効果が期待されるものも多くあります。
また、治療を受けられる病院も、先進医療の内容によって、厚生労働省にそれぞれ指定されています。
厚生労働省のデータによると、2016年6月30日時点で先進医療を実施している医療機関は、日本全国で811施設、患者数は2万4785人です。
2012年の同時点の553施設、患者数1万4479人と比較すると、大幅に増加していることがわかります。
先進医療とは厚生労働相が認めた高度な医療技術を使った治療や手術
先進医療を受ける患者数は増加
先進医療とは、厚生労働相が認めた高度な医療技術を使った治療や手術のことです。
健康保険などの公的医療保険の対象とするかどうかを評価する段階のもので、特定の大学病院などである程度の実績を積んだものが認められます。
その対象は、頻繁に入れ替わっており、2015年10月1日現在では、107種類あります。病名の代表例としては、ガン(各部位)や白内障、子宮腺筋症などがあります。
患者が先進医療を受けた場合、診察や検査、入院などについては、健康保険が適用されますが、実際の治療や手術といった「技術料」は保険対象外のため、患者が全額を負担しなくてはなりません。
たとえば、ガン細胞に放射線をピンポイントで照射する重粒子線や陽子線の治療は、1回の治療で300万円前後かかるケースもあります。
それでも先進医療を受ける患者数は増えており、厚生労働省によると、2014年度の患者数は、2万3,925人で2010年度の9,775人に比べて2.4倍に増えました。
一般に、保険対象と保険対象外の診療を併用する「混合診療」を受けると、保険対象分も自己負担になってしまいます。
しかし、先進医療は、例外的に保険診療との併用が認められています。
たとえば、保険診療と先進医療がそれぞれ10万円かかったら、先進医療の技術料は全額負担となりますが、保険診療分は3万円(自己負担3割)となり、自己負担額は合計13万円となります。
先進医療に該当する治療
先進医療とはどういう治療が該当するの?
疾患 |
先進医療技術名 |
---|---|
がん |
●重粒子線治療
●経皮的乳がんラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法 |
白内障 |
●多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 |
先進医療はだれでも受けることができるの?
一般的な診療を受ける中で、先進医療は本人が希望し、医師が必要性を認めて、症状が条件を満たしており他に方法がない場合に行われます。
最適な治療法を選ぶために備える先進医療保険
先進医療は、高度な技術を用いた最新の治療法です。
その効果が期待される一方で、治療費のうち技術料は原則自己負担になります。
いざというときに最適な治療法を選ぶためには、経済的な備えをしておく必要があります。
先進医療の費用は?
先進医療を受けるために費用はどれくらいかかるの?
先進医療の費用についてですが、健康保険の対象外なので、技術料は自己負担となります。
先進医療を受けた場合は、診察料や、検査料、投薬料、入院料など、通常の治療と共通するものは健康保険の対象となりますが、先進医療の技術料は全額が自己負担です。
その金額は治療の内容によって大きく異なり、数万円のケースもある一方で300万円程度が必要な場合もあります。
また、先進医療の技術料は高額療養費制度も対象外となります。
先進医療の主な技術料
先進医療を受けるための主な治療と技術料
先進医療の種類 |
技術料※ |
---|---|
重粒子線治療 | 約300万円〜310万円 |
陽子線治療 | 約250万円〜270万円 |
水晶体再建術 | 約50万円〜55万円 |
経皮的乳がんラジオ波焼灼療法 | 約15万円〜20万円 |
※一件あたりの平均額
先進医療保険特約とは?必要?
先進医療保険の必要性
先進医療保険って必要ですか?
突然、高額な医療費負担が生じると、自分や家族のライフプランに影響を与えかねません。
安心して最適な治療法を選ぶためには備えが必要です。医療保険やがん保険には、先進医療に備える特約があります。
医療保障までは必要ないけれど治療の選択肢の幅を広げるためにも先進医療の治療のみ備えておきたい人には月額数百円程度と単体で申し込みできる保険もありますから、是非検討して見てください。
がんの治療は通院でも可能になっていますが、離職する人も少なくありません。
東京都福祉保健局が実施した「がん患者の就労等に関する実態調査(2014年)」によると、退職理由は「治療・療養に千年するため」が半数を占めています。また、「周囲に迷惑をかけたくない」、「職場に居づらくなった」などの回答もあります。
仕事との両立を困難であるといえます。
最適な治療法を選択することが大切ですが、治療の選択肢を広げて、仕事との両立もできるように万全の準備が必要であるといえます。
先進医療特約でカバー
先進医療特約でガン意外に白内障も
保険会社の医療保険や生命保険などに付けられる「先進医療特約」ですが、ガンや白内障などの治療で、公的医療保険の対象外のため自己負担となる高額な先進医療費を保障してくれます。
保険料はお手頃で、使い勝手が向上した商品も登場しています。
傷病名 |
治療内容 |
技術料(年齢・性別) |
---|---|---|
前立腺がん |
放射線治療の一種「重粒子線」を体外から照射 | 314万円(60代・男性) |
肺がん |
放射線治療の一種「陽子線」を体外から照射 | 288万円(50代・男性) |
白内障 |
濁った水晶体を取り除き、代わりに、 |
33万円(30代・女性) |
子宮腺筋症 |
従来の子宮全嫡出ではなく、 |
30万円(30・女性) |
腰下肢痛 |
椎間板ヘルニアなどの腰や足の痛みに対して、内視鏡で背中の神経を圧迫している部分を直接治療する | 16万円(40代・男性) |
(住友生命の2014年度実績より)
先進医療特約で通院費の給付も
先進医療特約で通院費の給付も
先進医療特約を利用できる医療機関も検討しておく
先進医療は高額なものもあり、これを保険でカバーできれば、保険診療分だけの支払いで済みます。
生命保険会社などが扱う特約の先進医療保障は、医療保険などに特約として設定されています。商品内容は各社で少しずつ違うので比較検討が必要です。
月100円前後の保険料で107種類の先進治療法すべてに対応し、何回か治療を受けた場合も通算で1,000万円〜2,000万円程度までの保障が付くというものです。
技術料の10%か一律10万円前後の交通費などの諸費用に使える給付金として支給する特約もあります。
最近は、かかった治療費を保険会社から医療機関に直接、支払ってくれるサービスも広がっています。加入者が支払って、その後、保険会社に請求する方式だと、負担を感じる人が多いためです。
第一生命保険は、2015年8月から「特定先進医療ダイレクト支払サービス」を開始しました。全国7箇所の医療機関で、重粒子線、陽子線治療を受けた場合、同社が治療費を直接支払ってくれるというサービスです。
ただし、先進医療はすべての病気や部位に有効というものではありません。さらに、先進医療特約は、利用できる医療機関も限られます。加入する際には、これらの点も考慮して検討するようにして下さいね。
(読売新聞より抜粋2015.10.24)
在宅医療費も保険で軽減
在宅医療費も特約で保障の対象に
先進医療特約を利用できる医療機関も検討しておく
高齢化が進み、入院せずに自宅などで療養する在宅医療を受ける人が増えています。
病気やケガをした際に給付金が支払われる民間の医療保険は、これまで入院保障に重点を置いてきましたが、在宅医療も特約で保障の対象にするものが出てきています。
患者数は増加!高まるニーズ
在宅医療を受けた患者数は増加
自宅や介護施設で療養を続ける患者の中には、末期ガンや人工呼吸器を必要とする重症患者は少なくありません。また、自宅で最期を迎えることは、珍しいことでもないようですね。
厚生労働省の推計では、2014年に在宅医療を受けた患者数は1日あたり約15.6万人で2005年の約6.5万人から2.4倍に増えています。
政府は医療費を抑制するために、療養患者の入院ベッド数を減らしており、長期の入院はますます難しくなりそうです。
高度な治療を行う病院を退院して、在宅医療を勧められるケースは今後も増えていきそうですね。
在宅医療にかかる医療費は、一定の範囲に収まるのが一般的です。公的医療保険の高額療養費制度によって、70歳以上の高齢者であれば、収入に応じて月8,000円〜4万4,400円を超える医療費は支払いが免除されます。
ただ、減菌ガーゼ、カテーテルなど、日常のケアに使う医療関連品を自己負担する場合もあります。さらに在宅医療では、生活費や介護費など費用がかさむことになります。
在宅医療を受ける患者の家族は、費用を負担に感じますから、保険の役割は今後も高まり、ニーズに応じた商品が増えることも予想されます。
名称(会社名) |
終身医療保険「も。」 (SBI生命) |
メディカルスタイルF (明治安田生命) |
こだわり医療保険withPRIDE (マニュライフ生命) |
---|---|---|---|
特約の名称 | 終身在宅医療特約 | 退院後通院治療保障特約 | 在宅治療特約 |
給付期間 | 終身 | 90歳まで | 終身 |
給付条件 | 退院後、入院と同じ原因により、在宅医療を受けたとき | 同左 | 自己注射、人工透析、酸素療法の指導管理を受けたとき |
給付内容 | 月ごとに入院保障の日額の6倍(最大6万円、70歳以上は半額)を36ヶ月まで | 退院翌日から180日(ガンの場合は730日)間の医療費自己負担分と一時金1万円 | 指導管理を受けた月ごとに3万円を60回まで |
複数の保険を取り扱う専門家に相談
先進医療特約は専門家に相談
民間の医療保険で、在宅医療の保障付き特約が登場しています。基本の保険料などに数十円から数百円の特約保険料を加えることで契約できます。
SBI生命が2016年2月に発売した終身医療保険「も。」の在宅医療向け特約は、給付金が月6万円(70歳以上は3万円)、最長36ヶ月まで支給されます(入院保障1日1万円の場合)。
明治安田生命の医療保険「メディカルスタイルF」は、退院翌日から180日(ガンの場合は730日)間、医療費の自己負担分の全額を支給する他、一時金として1万円が給付されます。
SBI生命と明治安田生命は、入院時と同じ病気やケガで在宅医療を受けた場合が対象となります。
また、医療機関以外で自己注射、人工透析、酸素療法のいずれかを受けた場合を保障の対象にする特約もあります。
マニュライフ生命の「こだわり医療保険withPRIDE」は毎月3万円が60回を限度に、支給されます。
いずれの保険商品も負担感を和らげるのに、役に立ちますが、年齢や治療内容によっては給付の対象外となるものもありますので、条件を調べて、必ず専門家に相談しながら契約するようにしましょうね。