年金599億円支給漏れ※10万6000人分
年金支給漏れ−上乗せ分10万6000人
厚生労働省は、2017年9月13日、65歳から受け取る基礎年金に一定額を上乗せする※「振替加算」について、1991年以降、元公務員の妻ら10万5963人分、合計598億円の支給漏れがあったと発表しました。
未払額としては過去最大規模で、厚生労働省は日本年金機構を通じて、11月中旬に全額が支給される予定です。
年金機構と共済組合の連携不足が主な原因で、厚生労働省はシステム改修などの再発防止策を進めると回答しています。
振替加算は、国民皆年金となった86年以前に国民年金に任意加入しておらず、年金額が低い人に配慮して91年に導入されました。
配偶者が65歳になるまでは厚生年金の受給者が加給年金として加算分を受け取り、配偶者が65歳になってからは配偶者本人の基礎年金に振替加算として上乗せされます。
2015年10月、公務員らが対象の共済年金を廃止し、会社員と同じ厚生年金に一元化したことを受け、年金機構が2016年12月から振替加算の対象者を総点検したところ、大規模な支給漏れが発覚しました。
支給漏れの96%は、夫婦のどちらかが共済年金の受給者でした。未払額の平均は1人あたり約56万円で、最高額は約590万円でした。
また、対象者のうち、約4000人はすでに亡くなっていることも判明しました。
3親等内で同一生計だった遺族がいれば、未払分を支給するということです。
※振替加算とは?
厚生年金を受給している人の配偶者が、65歳からの基礎年金に上乗せして受け取る加算金のことです。
夫婦のうち一方が厚生年金や共済年金に20年以上加入し、もう一方は20年未満の場合などが対象となります。
すべての職業に共通する基礎年金が1986年に創設されたことに伴う移行措置で、年齢に応じて月額19000円〜6000円程度が支給されます。
若い世代ほど減額していき、66年4月2日以降に生まれた人はゼロとなります。
支給漏れの原因
@年金機構と共済組合の連携不足(約5万3000人で約260億円)
A年金機構のシステム処理上のミス(約3万6000人で約122億円)
B年金機構での事務処理ミス(約5000人で約89億円)
C支給対象者の届出漏れ(約1万2000人で約128億円)
合計10万6000人分で金額は599億円
年金機構は各共済組合から加入者データの提供を受けて、それを基に振替加算を支給してきましたが、データの誤りが双方の連携不足で確認できていなかったということです。
民間の企業ではありえない事態ですね。再発防止に努めます〜〜で済まされる問題ではないです。
年金情報の甘い管理体制
長年ミスを放置
2017年9月13日に開かれた厚生労働省の社会保障審議会年金事業管理部会で、この問題を報告した厚生労働省幹部は陳謝しました。
日本年金機構は、共済組合から加入者のデータ提供を受けて振替加算を支給してきましたが、組合が配偶者の生年月日などを誤って入力していたほか、誤りに気付いた機構も放置していた、ということです。
日本年金機構で初めてミスを把握したのは、2010年度です。その後も相次ぎ、2014年〜16年度は計1674件が判明しました。
厚生労働省は、件数が少なく、構造的な問題に気付くことができなかった、と説明していますが、受給せずに亡くなった人は約4000人以上に上ります。
年金を巡って日本年金機構は、前身の社会保険庁の時代から多くの不祥事を起こしてきました。
2003年には振替加算で約300億円の未払が発覚した他、2007年には、持ち主のわからない年金記録が約5000万件あることが明らかになりました。
年金機構と共済組合が連携し、データの照合や修正をしていれば、支給漏れは防げたはずです。また、受給できずに亡くなった人もいるわけですから、日本年金機構は緊張感が足りず、社会的な使命を軽視しているとしかいいようがありません。
組織の縦割りが浮き彫り
基礎年金の振替加算で発覚した巨額の支給漏れは、組織の縦割りで給付事務が正常に行えていない年金行政の実態を浮き彫りにしたといえます。
振替加算は、サラリーマンだった夫に生計を維持されていた妻が65歳になり、一定の要件を満たした場合に支給されます。そのためには、夫婦両方の加入情報を把握する必要があります。
支給漏れが起きたのは、夫婦のどちらかが公務員の共済年金に加入していたケースがほとんどです。
共済年金の加入記録は財務省など所管の各共済組合、基礎年金の記録は厚生労働省所管の日本年金機構(2009年までは旧社会保険庁)が管理します。
2015年の厚生・共済両年金の統合後も事務組織の縦割りは維持され、情報が共有できていませんでした。今後組織の統合で事務の正確性とコスト削減を図ることが選択肢となります。
公的年金は改正が繰り返され、非常に複雑な制度になっています。その過程で厚生労働省は現場の実務を十分に考慮してきませんでした。厚生労働省のキャリア官僚を現場の旧社保庁にあまり配置しないなど、頭でっかちで現場軽視の姿勢が今回の不祥事を生んだともいえます。
振替加算の支給漏れは、現場で以前から知られていたのに、見て見ぬふりで対策が遅れたといえます。
国民をないがしろにした旧社保庁の体質が、日本年金機構にも引き継がれているような気がしてなりません。日本年金機構では2015年に、125万件もの個人情報の流出も起きました。年金不信を増幅させた行政の責任は重いです。
ありえない入力ミスとチェック体制の甘さ
国を信じていいですか?
支給漏れの可能性が高いのは、厚生年金を受給している人の配偶者が65歳から受け取る基礎年金に、一定額を上乗せする振替加算です。
対象者の96%は夫婦どちらかが元公務員などで共済年金の受給者です。
原因は@年金機構と共済組合の連携不足A年金機構のシステム処理上のミスB年金機構での事務処理ミスC支給対象者の届出漏れ、が挙げられます。
通常、配偶者が65歳になり、振替加算を支給する場合、事前に組合が、年金機構と情報を共有するデータベースに配偶者の生年月日などのデータを入力する必要があります。
しかし、組合では2月30日生まれなどと、あり得ない生年月日の入力などがあったほか、日本年金機構ではデータベース上でミスを見つけたとしても、組合側にデータの再入力を求めながら、入力されたかどうかまでは確認していないなどの、連携不足が目立っています。
年金支給漏れ!!どう確認
元公務員の配偶者らを中心に、総額約598億円に上る年金の支給漏れが発覚した問題で、日本年金機構は2017年11月中旬から未払分の支払いを開始しました。
自分の年金は大丈夫か?と心配される受給者も多いと思います。問題となったケースなど、よくある年金の支給漏れを自分でチェックする方法をご紹介します。
振替加算の有無
今回発覚したのは、国民年金の振替加算と呼ばれる部分です。きちんと支払われているかどうかを確認する方法は2つあります。
まずは、毎年5月〜6月に日本年金機構から届く「国民年金・厚生年金保険の年金額改定通知書」で確認する方法です。国民年金と書かれた欄に「振替加算額」と金額が記されていれば加算されています。
もう一つは、通常、65歳になった際に届く「国民年金・厚生年金保険 年金決定通知書・支給額変更通知書」の裏面を見る方法です。
「国民年金(基礎年金)」と書かれた項目に「加給年金額または加算額」という欄があり、ここに金額が記載してあれば加算されています。書類に「振替加算」という欄がないので、探しにくいかもしれません。
未払が起きやすいのは、妻が年上の場合や、夫が公務員のケースです。ただし、夫が年上の場合、妻が振替加算をもらい始めると、その代わりに夫が受け取る年金額は減る仕組みになっています。
「自分の年金が急に減った」と驚く人も多く、年金事務所に相談に駆け込む人も少なくありません。
年金の種類
振替加算とは別に確認したいのが、加入してきた国民年金の種類です。
年金は職業などで3つに分かれています。自営業者や学生などは「1号被保険者」、会社員や公務員は「2号被保険者」です。2号の配偶者にあたる専業主婦らは、「3号被保険者」で、保険料の負担はありません。
どの種類に加入しているかを知る手掛かりになるのが年金手帳です。
【例】A子さんは、会社員の夫と結婚後、主に専業主婦として過ごし、1992年(平成4年)の5月から約半年、勤めました。この例で確認したいのは3点です。
@一つ目は、1986年(昭和61年)4月1日に3号被保険者になっているかどうかです。専業主婦は一斉にこの月から3号被保険者になりました。これ以後に結婚して、専業主婦になった人は手続きに不備があると、3号被保険者になっていないことがありますので、要注意です。
A二つ目は、勤めていた会社を辞めて専業主婦に戻った時です。A子さんの場合、92年(平成4年)に専業主婦に戻ってますので、そのことも年金手帳で確認する必要があります。
B三つ目は、働いている夫が65歳になったときです。たとえ夫が会社員として働き続けていても、妻は3号被保険者でなくなる仕組みで、自分で保険料を納める1号被保険者になります。
ただ、年金手帳だけではすべての記録が分からない場合もあります。年金事務所などに行けば、詳細な記録を取り寄せることができます。
いずれにしても、年金の支給漏れ、未払い、なんて常識的に考えて許されるものではありません。
日本国民であるわたしたちはこのような現状の中、どう対応すればいいのでしょうか?自営業の方が国民年金を払わない理由もわかります。
自分の年金は、自分で準備する、自分の老後のときには、国から年金はもらえない!それくらい思っていたほうがいいですね。
そのためにも民間の生命保険の年金をしっかりと準備しておくようにしましょう。