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年金がもらえる資格ってどう変わるの?何年納めればよい?

国民年金がイメージできる画像

 

老後に公的年金を受け取る条件が、2017年8月から大幅に緩和されました。改正年金機構強化法が施行されたためで、年金の受取に必要な「受給資格期間」が25年から10年に短くなりました。

 

このことにより、新たに約64万人が年金を受け取ることができます。短縮の意義や受給に必要な手続き、注意点などをまとめてみました。

 

年金は将来もらえるのか?

 

年金の納付が10年以上でもらえる

公的年金は、「国民年金」を基本としています。20歳から60歳になるまでの40年間(480ヶ月)、全員が加入して保険料を納めます。2017年7月までは、最低25年間納めれば、納付期間に応じた額の年金を原則65歳から受け取ることができます。

 

この25年の期間を「受給資格期間」といいます。この期間を満たさないと年金を受け取ることができません。
資格期間は、保険料を納めた月数だけではありません。所得が少ないため納付を免除された月も含まれます。

 

また、サラリーマン世帯の専業主婦や学生は以前、国民年金の加入が義務付けられておらず、この時期に保険料を納めなかった月があっても、資格期間にカウントされます。この期間は、「合算対象期間」と呼ばれます。

 

ある元自営業の男性66歳のケースを例に挙げて見てみます。
男性は40年のうち10年は保険料を納付していました。3年間は収入が少なくて保険料を免除されました。また、大学時代の2年間は、加入が義務ではなかったため、保険料を支払っていませんでした。資格期間は15年となります。

 

2017年7月までは、資格期間が最低25年必要なので、年金を受け取れませんが、2017年8月からは10年に短くなるので受給資格を得られます。

 

25年という資格期間は、1961年に国民年金が始まったときに決められました。それより短いと老後の年金が少なくなりすぎる、などの理由がありました。

 

ただ、「25年でも長すぎる」という批判は多く、2007年の旧社会保険庁の調査で、老後の年金を受給できない無年金者が推計最大118万人に上ることも判明しました。欧米には受給資格期間が5年や10年という国もあります。

 

このため政府は、2012年8月に年金機能強化法を制定し、消費税率の10%への引き上げに伴う財源を使って、資格期間を10年に縮めることを決定しました。

 

消費税の税率の引き上げは2019年10月まで延期されましたが、無年金者の救済を急ぐべきだとして、2016年11月に年金機能強化法を改正して、2017年の8月から実施を決定しました。

 

それでも無年金者者や約26万人残り、課題は完全に解消されたわけではありません。

 

公的年金は10年以上納付が基本条件

公的年金制度は、現役時代に保険料を納めてお年寄りを支え、自分の老後に、納めた保険料に応じた年金を受け取れる世代間の助け合いの仕組みです。

 

20歳から60歳になるまでの40年間(480ヶ月)は、すべての国民に国民年金に加入する義務があります。

 

国民年金を受け取るには、最低10年間保険料を納める必要があります。

 

「受給資格期間」と呼ばれますが、これを満たさない限り、保険料を納めた期間があっても年金を受け取ることはできません。受給資格期間は、保険料を納めた期間だけでなく、所得が少ないために納付を免除された期間も含まれます。

 

会社員世帯の専業主婦や学生は、以前は国民年金に加入する義務がない時期がありました。この時期に保険料を納めていなくても、受給資格期間に算入できます。

 

また、海外に住んでいて、国民年金に加入しなかった時期なども同様に算入できます。これらを「合算対象期間」といいます。

 

受給資格期間は、2017年8月、それまでの25年間から10年間に短縮されました。25年を満たさず、年金を受け取れない「無年金者」の救済のためです。

 

期間が10年に短縮されたことで、2018年4月までに52.8万人が、新たに年金を受給できるようになりました。

 

ただ、納めた期間が短ければ受け取れる年金額は少なくなります。40年間欠かさずに保険料を納めた人が受け取る年金は、月約65,000円です。しかし、納めた期間が10年だと、満額の4分の1の月約16,000円になります。

 

納められなかった保険料は、2年以内であれば、遡って納付することが可能です。

 

60歳以降も、一定期間は「任意加入」ができるため、保険料を納めて年金額を増やしたり、受給資格期間に算入したりすることができます。

 


年金の受給額は納付期間で差が!!

年金受給額がイメージできる画像

 

年金の受給期間と納付期間

 

受給期間と納付期間・注意する点は??

年金の受け取りに必要な「受給資格期間」が25年から10年に短くなったことは、保険料を納めた期間が足りずに年金をまったくもらえなかった人には朗報といえます。

 

でも、保険料を納めた期間が短ければ、その分、受け取れる金額は少なくなるので注意が必要です。年金は基本的に、保険料を納めた期間に応じてもらえる金額が増える仕組みになっているためです。

 

20歳から60歳になるまで40年間、国民年金の保険料(2017年度は月額1万6490円)をすべて納めた人が受け取る年金の満額は月々約6万5000円です。ただ、保険料を納めた期間が10年の場合、月々約1万6000円となり、満額の4分の1程度になります。保険料を免除された期間のある人は、その長さなどに応じて、受取額がさらに少なくなってしまいます。

 

ただ、受給額を増やす方法もあります。まず、過去の保険料のうち、払っていない期間の分を今から払うという方法です。全国の年金事務所で手続きができます。単純な払い忘れや、免除申請をしないまま未払いになっていた分は、最大5年前まで遡って納めることができます。申請などをして保険料納付を免除されていた分は、最大10年まで遡って納めることができます。

 

次に60歳から65歳になるまで任意加入して、保険料を納めることで、年金額を増やす方法もあります。このほか、年金のもらい始めを遅らせる繰り下げ受給という方法もあります。1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増えるので、1年遅らせれば8.4%の増になります。最長の5年繰り下げると、42%増やすことができます。年金事務所で相談してみましょう。

 

自営業者は国民年金だけ

 

厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれる

年金制度はすべての人が入る国民年金と雇われて働く人が加入する厚生年金に区別されます。厚生年金に入ると自動的に国民年金にも入ることになります。厚生年金の保険料には国民年金の保険料も含まれ、厚生年金は原則65歳になると国民年金に上乗せする形でもらえます。

 

厚生年金は、保険料を1ヶ月以上納めていれば、その期間や保険料額に応じた年金を受け取ることができますが、厚生年金をもらうためには、国民年金を受け取ることが前提となります。

 

つまり、2017年7月までは25年、2017年8月以降は10年という国民年金をもらえる資格を満たさない限り、国民年金も厚生年金も受け取ることができません。

 

改正年金機能強化法の改正で、国民年金をもらえるようになる人の多くが、会社勤めなどをして厚生年金の保険料を払っていた期間があり、国民年金に加えて厚生年金ももらえるようになると見込まれています。

 

日本年金機構で把握していない合算対象期間がわかるなどして、受け取り損ねている年金が100万円を超えるケースもあります。確認するには2ヶ月程かかることもありますから早めの手続きが必要です。


年金を受け取れる年齢と具体的な金額

年金受給額がイメージできる画像

 

年金を受け取れる年齢ともらえる金額

 

年金を受け取れる年齢と具体的な金額は?

2017年8月1日から社会保障制度の見直しが行われました。年金給付を受けるために必要な保険料の納付期間は短縮され、受給できる人が増えます。年金受給に必要な保険料の納付期間はこれまで25年でしたが、10年に短縮されました。

 

制度の見直しに伴い、新たに年金を受け取ることができるのは、公的年金の加入期間が10年〜25年で、かつ、2017年8月1日時点で65歳以上の人です。厚生年金に1年以上加入していれば、60歳〜64歳の女性と62歳〜64歳の男性も対象となります。受給額は納付期間に応じて変動します。

 

基礎年金(国民年金)では2017年度、保険料を40年間納めた場合に月額6万4941円を受け取れますが、例えば、納付期間が10年であれば月額1万6235円となります。

 

納付期間が10年〜25年の人が年金受給の権利を得るのは2017年8月以降です。実際の年金支給は「受給権発生の翌月」となりますので、支給開始は9月からで、お金の受け取りは10月となります。

 

介護保険と医療保険は一部負担増に!!

 

介護保険と医療保険は負担が増えました

40歳〜64歳の人が支払っている介護保険料については、高額所得者に対して、より多くの保険料負担を求める「総報酬割」が導入されました。

 

厚生労働省の試算によると、全面導入される2020年度には、健康保険組合に加入する大企業の従業員は1人あたり月平均727円、共済組合に加入する公務員は月平均1972円負担が増えます。一方、協会けんぽに加入する中小企業の従業員は月平均241円減る見込みです。

 

介護保険料は企業と従業員が折半しています。このため、実際の従業員個人の負担額はこれらの増減の半額になります。

 

介護サービスの自己負担額が一定額を超えると払い戻しを受けられる「高額介護サービス費」も見直されました。住民税が課税されている一般的な所得の世帯はこれまで、自己負担が月3万7200円を超えた場合、それ以上支払った分の払い戻しを受けられました。2017年8月以降は4万4400円までは自己負担となります。

 

高額医療を受けた際の自己負担に上限額を定めた「高額療養費制度」も見直されました。

 

70歳以上の住民税課税世帯のうち、年収約370万円未満の人はこれまで、外来診療の自己負担について月1万2000円を上限とされてきました。この上限を月1万4000円に引き上げ、合わせて年間の上限が14万4000円と定められました。

 

1世帯あたりの自己負担上限(2017年7月までは月4万4400円)も月5万7600円に引き上げられました。年収が370万を超える人は外来診療の自己負担上限が月4万4400円だったのが、2017年8月以降は月5万7600円に引き上げられました。

 

 


公的年金は将来もらえない?年金の世代間格差広がる厚労省試算

年金はいくらもらえるの?がイメージできる画像

 

年金は将来もらえないので自分で準備を!

私たちは、支払った保険料に対して、生涯でいくらの年金を受け取ることができるのでしょうか?

 

納めた年金の保険料に対して、どれだけ年金の給付が受けられるか厚生労働省が世代ごとに試算した結果、世代間の格差が広がっていることが分かりました。

 

厚労省は去年公表した将来の年金の給付見通しをもとに、世代ごとに納めた年金の保険料に対して、どれだけ給付が受けられるか試算をまとめました。

 

その結果、厚生年金では「夫がサラリーマンで妻が専業主婦」のモデル世帯で、2017年70歳の人は、納めた保険料の5.2倍を受け取れる見込みであるのに対し、30歳では2.3倍にとどまりました。

 

また、国民年金では70歳の場合、納めた保険料の3.8倍を受給できる見通しに対し、40歳以下では1.5倍でした。

 

2009年に行った前回の試算に比べて、厚生年金、国民年金ともに世代間の格差が広がっています。

 

世代間格差が実質的に拡大したことがわかり、若い世代を中心に不公平感が高まりそうです。
(読売新聞より一部抜粋)

 

厚生年金の支払保険料と受取額の比較】

2015年の年齢(誕生年)

保険料支払額

受け取る額

納めた保険料に対して受け取れる倍率

70歳(1945年生)

1000万円

5200万円

5.2

60歳(1955年生)

1400万円

4600万円

3.4

50歳(1965年生)

1900万円

5300万円

2.8

40歳(1975年生)

2400万円

5900万円

2.4

30歳(1985年生)

2900万円

6800万円

2.3

20歳(1995年生)

3400万円

7900万円

2.3

 

 

国民年金の支払保険料と受取額の比較】

2015年の年齢(誕生年)

保険料支払額

受け取る額

納めた保険料に対して受け取れる倍率

70歳(1945年生)

400万円

1400万円

3.8

60歳(1955年生)

500万円

1200万円

2.3

50歳(1965年生)

800万円

1400万円

1.8

40歳(1975年生)

1000万円

1500万円

1.5

30歳(1985年生)

1100万円

1700万円

1.5

20歳(1995年生)

1300万円

2000万円

1.5

 

世代間の格差や支払った保険料に対する受取額の倍率も重要ですが、厚生年金や国民年金だけでは老後の生活資金としては足りません。
特に、自営業の方の国民年金は少なすぎますね。

 

年金の受給に必要な保険料の納付期間が短縮されて、受給できる人が増える!?って聞くと朗報に聞こえますが、、、介護保険料や医療保険などの負担も増えることも覚えておく必要がありますね。

 

国民年金は2017年度、保険料を40年間納めた場合に月額6万4941円、納付期間が10年であれば月額1万6235円となってます。もらえないよりはマシですが、この金額では生活することは難しいです。国民年金に加入している自営業の方は特にご自身で年金の準備をする必要があります。


生命保険のオススメがイメージできる画像