契約者貸付を受けていた保険契約にかかる保険金を相続により取得
契約者貸付を受けていた保険契約にかかる保険金を相続により取得
契約者貸付を受けていた保険契約にかかる保険金を相続により取得した場合の取り扱いは?
父が亡くなり保険会社から保険金が支払われました。
しかし、父は生前保険会社から契約者貸付を受けていたようで、保険金額から父の借入金が相殺されて支払われました。
このような場合、父が受けていた借入金は債務控除の対象となるのでしょうか?
契約者(保険料負担者) | 父 |
---|---|
被保険者 | 父 |
保険金受取人 | 子 |
被相続人 | 父 |
契約者貸付を受けていた保険契約にかかる保険金を相続により取得
契約者貸付を受けていた保険契約にかかる保険金を相続により取得した場合の取り扱い
相続税の債務控除の対象にはなりません。
支払われた相殺後の保険金額のみを「みなし相続財産」として考えます。
保険契約者はその時点の解約返戻金の範囲内で保険会社から金銭の貸付を受けたり、また、保険料の支払いができないような場合には、一定の手続きにより保険料相当額の振替貸付を受けたりすることができます。
このような場合に保険金の支払事由が発生すると、通常、保険会社は約款規定により、保険金額から貸付元金および未払保険料とそれぞれにかかる利息相当額を差し引いて保険金の支払いを行います。
みなし相続財産としての生命保険の取扱
そして、この場合におけるみなし相続財産としての生命保険の取扱については、次のように定められています(相続税基本通達3-9)。
受取人が実際に取得した金額を受取保険金額とし、その控除にかかる契約者貸付金相当額の保険金およびその控除にかかる契約者貸付に相当する債務はいずれもなかったものとして考えます。
保険金の受取人は契約者貸付金相当額を控除した金額の保険金を取得したものとされます。
また、保険契約者はその控除された契約者貸付金相当額の保険金を取得したものと考え、所得税(一時所得)の対象となります。
なお、住宅ローン等の借入金を組む際、債務者は同時に団体信用保険に加入しますが、この債務者が死亡等した場合には保険金と借入金の残債を相殺し、被相続人に対する債務はなかったものとするのが一般的です。
契約者が被相続人である場合の契約者貸付等の取扱もこれに類したものと考えることができます。